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高い技術力と機動力で最先端医療機器の開発から製造まで一手に行う

電気、機械の高い技術力と機動力を活かし、いち早く医療機器産業に参入。技術力と品質で信頼を獲得し、大手企業の医療機器を設計・開発から製造まで一手に引き受ける。現在の主力製品は便潜血測定装置と蛍光測定部付恒温装置。今後も新たな医療機器開発に挑戦していく。

有限会社多摩精機(H30/4/6up)

誤嚥性肺炎予防のための簡単・安価な「とろみ計」を開発

ますます高齢化が進む日本において、誤嚥性肺炎は大きな問題になっている。誤嚥を防ぐために行われているのが、食べ物や飲み物にとろみをつける方法だ。しかし、病院や介護施設にはとろみ計が普及しておらず、人が感覚でとろみを確認していた。そこで、自社製品として簡単・小型・安価なとろみ計を開発した。

とろみ計

医療機器を大手企業と共同開発

―御社の事業内容を教えていただけますか。

 

医療機器の開発・製造を行っています。現在は、東証一部上場の臨床検査薬メーカーと共同開発した大腸がん検査のための便潜血測定装置、結核の検査のための蛍光測定部付恒温装置等が主力製品です。また、別の取引先からも血液の凝集能測定装置の開発・製造を受注し、販売を始めたところです。

弊社は昭和41年に先代社長である父が創業し、もともとは光学機器業界、家電業界への部品供給が始まりです。その経緯で大手光学機器メーカーから検眼機の開発・製造を受注し、医療業界に参入しました。12,000台は納品したので、眼鏡をかけている方の多くは、眼鏡屋さんで弊社の検眼機で検査をしているかもしれませんね。

その後、現在取引をしている臨床検査薬メーカーから便潜血測定装置の開発と製造を受注し、30年ほど経ちます。採便容器から自動で反応容器に落とし、試薬を分注し、攪拌してその反応量を測定し、数値化するのですが、ヘモグロビンと便潜血を数値化する機械は弊社の装置が世界初です。従来は、化学的方法といって、ヘモグロビンの活性を利用して化学的に判定していたのですが、肉や魚などの食物に反応してしまいました。弊社の製品では、免疫学的方法といって、ヒトヘモグロビンに対する抗体を用いて判定するため、人間の血液のヘモグロビンにしか反応しません。そのため検査の精度が高く、非常によく売れました。今では国内のみならず、アメリカ、ヨーロッパ、中国等、世界に向けて販売されています。

便潜血測定装置

便潜血測定装置

 

―3兄弟で経営されているのですね。

 

先代社長の長男である私が代表取締役を務めております。次男が常務取締役 技術部長で、株式会社東京精密で設計に従事後に弊社に入社しました。三男が取締役 営業部長です。

中小企業で優秀な人材がたくさんいるわけではないので、和を大切にして経営陣や従業員全員で協力していかないと、外部環境の変化に対応できません。いろいろな問題が起きますが、協力して真摯に向かい合う。その姿勢が評価される一因ではないでしょうか。

左から三男 営業部長、社長、技術部長

左から三男 営業部長、社長、技術部長

高い技術力でいち早く医療機器産業に参入

―御社の強みを教えてください。

 

技術力と品質の高さは自負しています。特に電気、機械の分野は、創業から積み重ねたノウハウがありますので、お客様のニーズをうかがって、簡単な仕様書1枚からすべて設計することができます。また、小さい会社だからこその機動力もあります。大手企業だと2年かかるものも、我々は1年で仕上げることができる。そのスピード感も大切です。

弊社は医療機器製造業許可、第三種医療機器製造販売業許可を取得し、平成19年には医療機器産業に特化した品質マネジメントシステムであるISO13485も取得しました。医療分野にはさまざまな規格・認証があり、これらを取得していることが信頼にもつながります。従業員十数名の会社にとっては非常に大変な作業ですが、結果的に仕事の幅も広がりました。

高い技術力で製品を設計・製造する

高い技術力で製品を設計・製造する

簡単・安価なとろみ計で高齢者の誤嚥性肺炎の予防に貢献

―新たに自社製品の「とろみ計」を開発されたそうですね。

 

東京都中小企業振興公社多摩支社の方に、首都大学東京の先生をご紹介していただいたのがきっかけで開発を始めました。高齢者は飲み込む力が衰えて、食べ物や飲み物が食道ではなく気管に入ってしまうことがあります。これを「誤嚥」というのですが、高齢者にとっては誤嚥性肺炎の原因になる大きな問題なのです。病院や介護施設等では誤嚥予防として日常的に食べ物にとろみをつけて供給しますが、これまでは指標がなく、大体の感覚でとろみをつけていました。それは問題だということで、平成25年に日本摂食嚥下リハビリテーション学会がとろみ3段階の定義を発表しましたが、各施設では既存のとろみ計は高価でなかなか導入できないため、結局感覚でとろみをつけるしかないのです。それでは何か問題があったときに、証明できません。そこで、弊社では東京都中小企業振興公社の平成27年度試作品等顧客ニーズ評価・改良支援助成事業を活用しながら、とろみの粘度を3段階と数値で表示する簡単で安価なとろみ計を開発しました。

とろみを3段階で計測

とろみを3段階で計測

弊社のとろみ計は、試料がごく少量で済むコーンプレート型粘度計の方式を採用しています。この方式では、回転するコーンと静止している平プレートの間に、流体の試料が存在することによって生じる抵抗を検知することでとろみを数値化します。消耗品は特に不要で、外出先やコンセントからの給電が難しい場所でもモバイルバッテリーのUSB給電で動かせます。また、エビデンスとしてデータ保存も必要ですから、USBでデータのエクスポートもできるようにしました。

少量の試料で計測できるコーンプレート型粘度計

少量の試料で計測できるコーンプレート型粘度計

 

―これまで、このようなとろみ計はなかったのでしょうか。

 

ないわけではないのですが、価格が高かったことと、工業用途の製品が多く少量では計測できないため、病院や介護施設等には普及しませんでした。そういった声を参考にして、今回開発したとろみ計は嚥下関係の先生方のご協力のもと、病院や介護施設等でも簡単に使えるよう小型化とシンプルさにこだわりました。少しでも医療・介護現場で働く方々、そして高齢者の方々の誤嚥性肺炎の予防の助けになればと思っています。

とろみ計を医療・介護の現場へ

―今後のとろみ計の販売計画を教えてください。

 

東京都中小企業振興公社のサポートを受けながら、平成30年内の販売開始が目標です。自社製品ですから、販売網の確立が大きな課題になっています。医療機関、介護施設、そして大学の教育・研究用途へご紹介していきたいと考えています。

今後、ますます高齢化が進むと、誤嚥はどの医療機関、介護施設でも必ず出てくる問題で、介護報酬の対象になる可能性もあります。まだ製薬会社、病院、介護施設等で評価中ではありますが、学会や展示会の出展で病院の先生方やメーカーの方から関心を示していただいていますし、嚥下リハビリの著名な先生には学会でお墨付きをいただいていますから、一気に市場が広がると期待しています。

 

―今後の展望を教えてください。

 

今後も新たな製品開発に挑戦していきます。便潜血測定装置の現行機種を発売してから7年。そろそろ新機種を開発する時期です。とろみ計は、嚥下の権威の先生方のご協力を仰ぎながら、まずはコツコツと国内で実績作りをしていきます。医療機器は開発に約3年はかかるので、長い目で事業を考えなければいけません。日頃から地道に人脈作りをして、種まきをしていきます。

当面の課題は事業承継ですね。従業員への技術承継に力を入れています。また、従業員への第三者承継を考えていますので、計画的に進めていきたいと思います。

 

 

取材:平成30年1月31日

企業基本情報

会社名 有限会社多摩精機(H30/4/6up)
所在地 〒192-0024 東京都八王子市宇津木町790
設立 昭和41年
資本金 2,000万円
従業員数 16名
主要取引先 栄研化学株式会社、株式会社リガク等
WEBサイト http://tama-seiki.co.jp