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オープンイノベーションにより429MHz帯無線の事業化を加速させる

ハードウェアからソフトウェアまで自前開発ができる技術力を基礎に、水や障害物に強く通信エリアが広い429MHz帯無線を利用したセンサーネットワークに注力。様々な大学・研究機関との連携や公的支援の活用によるオープンイノベーションを実践しながら、農業、インフラ、医療機器分野等での429MHz帯無線を活用したシステムの事業化を目指している。

のぞみ株式会社(H30/6/29up)

世界最小の429MHz帯無線モジュールを開発

波長が長く困難であるとされた429MHz帯無線モジュールの小型化に成功。大きさ 縦22.5mm×横13.5mm×厚さ2mm、重さ1.3gで世界最小を誇る。モジュールの小型化により小型機器への組み込みも可能になり、想定される用途も広がっている。

P3081608

組み込みシステムの技術力を武器に大手企業の半導体部門から独立

―御社の事業内容を教えていただけますか。

 

弊社では、組み込みシステムの開発・製造・販売を手掛けています。特に無線技術、制御技術を中心に、回路や基板の設計、ファームウェア、PCやスマートフォンのソフトウェアまですべて自前で開発できますし、協力会社で量産にも対応できます。

社員全員が沖電気の半導体部門でお客様のサポート業務をしていたメンバーです。サポートといっても、お客様と一緒に業務用から民生品まで幅広い製品のハードウェア、ソフトウェアの設計・開発を手掛け、多岐に渡る業務を行っていました。その後、沖電気が半導体部門を売却して事業再編するのをきっかけに平成20年10月31日に、のぞみ株式会社を設立しました。沖電気の半導体部門はラピスコンダクタという会社になりましたが、今でも取引が続いています。

現在は、特に429MHz帯無線を利用したセンサーネットワークに力を入れており、各方面で利用の可能性を模索している最中です。

 

―御社の強みを教えてください。

 

最大の強みは、ハードウェアからソフトウェアまで、つまりシステム全体を自前で開発できることと、429MHzの無線技術やノウハウを持っていることです。

それに加えて、協力会社のネットワークやインドでのオフショア開発のノウハウも持っています。前職でインドにソフトウェアの開発を発注したのですが、それが日本からインドに発注した最初の案件だったそうです。それから長くお付き合いがあり、インドでのオフショア開発に関する人脈やノウハウがかなり蓄積できました。案件の種類や規模によってはインドでのオフショア開発も可能ですし、コンサルティングもできます。

429MHzの無線技術を活用した実証実験システム

429MHzの無線技術を活用した実証実験システム

 

水や障害物に強く、エリアが広い429MHz帯無線

―なぜ429MHz帯の無線に注目したのでしょうか。

 

よく使われているWi-FiやBluetoothは2.4GHz、低消費電力かつエリアの広さからIoTへの活用が期待されているLoRaWANやSigfoxは920MHzを使っています。これらを扱う企業は世界中にたくさん存在します。ところが、429MHzを扱っている会社は国内でも5社ほどしかありません。我々のような中小企業が参入しても戦えると考えたのも理由のひとつです。

Wi-FiやBluetoothはエリアが狭く、水に弱い。LoRaWANやSigfoxはエリアが広いけれども、水に弱く障害物に弱い。それに対して、429MHzは通信速度が速くないのですが、水や障害物に強く、エリアが広いという特徴があります。見晴らしが良ければ数kmは飛びますし、雨が降っても影響が少ないうえに、建築物等の障害物を回り込む性質があるので、屋外での利用に適しています。

水の中に沈めても通信ができる

水の中に沈めても通信ができる

水の中の温度をリアルタイムで表示するデモ

水の中の温度をリアルタイムで表示するデモ

技術的に困難とされていた429MHz帯無線モジュールの小型化に成功

―世界最小の429MHz帯無線モジュールを開発されたそうですね。

 

大きさ 縦22.5mm×横13.5mm×厚さ2mm、重さ1.3gという世界最小の429MHz帯無線モジュールを開発しました。一般的に、無線の波長が長くなるとアンテナも大きくなるので、小型化が難しいと言われています。弊社の製品は、世界中を探して小さなアンテナを見つけ、モジュールを小型化することができました。また、Bluetoothと429MHz帯無線を搭載した中継機能を持った無線機も開発したので、429MHz帯無線で受信した情報をスマートフォンに転送することもできます。

モジュールの小型化により、血圧計、体重計、パルスオキシメーター等の小型機器への搭載が可能になりました。高齢者の見守り、農業分野のIoT、インフラメンテナンス、ペットの管理等、幅広い分野への活用が期待できます。

モジュールの1円玉との比較

モジュールの1円玉との比較

 

―429MHzを扱う会社が少ないのはなぜでしょうか。

 

技術的に難しいうえに、電波法の規制が厳しく技術基準適合証明(技適)を取得しなければならないからです。

400MHz台の無線は昔から鉄道無線、船舶無線、アマチュア無線等に使われていて、特定小電力に使用できる帯域が1MHzもありません。そのわずかな帯域の中に40チャネル以上ありますから、1チャネルあたり12.5KHzしか割り当てられていないのです。少しのずれで隣のチャネルになってしまうので、高い精度が求められます。周波数を発振する水晶振動子は温度に影響を受けますし、経年劣化もあるので、温度保証回路を付けてずれを小さくする技術が必要なのです。

 

幅広い分野で429MHz帯無線の利用可能性を模索中

―今後の展望を教えてください。

 

429MHz帯の無線は、水に強くエリアが広いので屋外での利用に適しているという特徴を活かし、農業、インフラ、医療機器分野に注力して開拓していきます。農業・インフラ分野では、東京農工大学、首都大学東京、静岡大学、島根大学と、医療機器分野では横浜市立大学の先生と連携して進めている案件があります。弊社は農業・インフラ・医療機器の知見があるわけではないので、今後も積極的に各方面の先生方と連携していきたいと考えています。

インフラ分野は規模の大きい事業にはなりますが、国や自治体と連携する必要があり実現までに何年も時間がかかります。医療機器分野は様々な法規制があり、すぐに製品化できるものではありません。ですから、これらの分野は長期的な視点で取り組んでいます。短期的には、産業機器のIoTに注目しています。すでにある生産ラインにセンサーを設置して、無線で情報を取得するような引き合いはたくさんいただいています。

また、公的機関の支援も活用しています。東京都中小企業振興公社の新技術創出交流会では多くの大手企業から面談希望をいただき、実際に受注に至ったものもあります。先進的防災技術実用化支援事業には「災害情報収集用ネットワークシステムの開発」というテーマで採択され、間もなく普及フェーズが終了します。医療機器分野では、東京都中小企業振興公社および東京都医工連携HUB機構の支援も活用して模索中です。今後も幅広く可能性を見出していきたいと考えています。

代表取締役 高田 淑朗氏

代表取締役 高田 淑朗氏

取材:平成30年3月8日

企業基本情報

会社名 のぞみ株式会社(H30/6/29up)
所在地 〒206-0011 東京都多摩市関戸4-23-1
設立 平成20年
資本金 2000万円
従業員数 8名
主要取引先 独立行政法人情報通信研究機構、独立行政法人理化学研究所、公益財団法人高輝度光科学研究センター、東京工業大学、横浜国立大学、早稲田大学、ソニー株式会社、沖電気工業株式会社、ラピスセミコンダクタ株式会社等
WEBサイト http://www.nozomicorp.jp