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夢はラピッド・マニュファクチャリング

積層造形法の一種、光造形法がラピッド・プロトタイピング(高速試作)の一般化に大きく貢献したのは有名である。しかし、光造形法での作製品は永続的には使用しにくく、プロトタイプ用が通例であった。 そして現在。積層造形法によって永続使用に耐えうる実用品を作製する時代が到来した。プロトタイプではない、マニュファクチュアリングである。積層造形法の特徴である「一品生産」で実用に耐えうる最終製品を作るのだ。 ラピッド・マニュファクチャリングへの道を開く最有望技術が粉末焼結積層造形法である。

(株)アスペクト

日本で唯一の粉末焼結積層造形装置メーカー

㈱アスペクトは光造形法の実用化に貢献した創設者が、次世代の積層造形法を模索すべく1996年に設立した。素材に多様性を持つ粉末焼結積層造形に注目した同社は、同装置の輸入代理店からスタート。しかしながら当時の装置には問題点が多く、トラブルを多々経験したという。

代理店契約が終了した後、東大の研究支援や東京都助成金を得て国内開発を進め、2006年にSEMplice®を完成させた。その後もさらなる開発を続け、2011年に改良型のRaFaEl®を発表した。

RaFaEL550

RaFaEL550

新世代立体造形装置

「人類が始めて得たものづくりの方法は削って作る切削加工であり、二番目の方法が形を変える塑性加工である。積層造形はくっ付け合わせる方法であり、人類にとって三番目のものづくりの方法である。」(北海道大学 岸浪 建史教授:1989年当時)

積層造形法は、完成予想品を薄く輪切りにした造形データを基に、素材を加工して各層ごとに作成し、付け足してゆく造形法である。光(紫外線レーザー等)に反応して硬化するエポキシ系やアクリル系樹脂を用いて層を成してゆく光造形が有名であるが、積層造形法にはその他にもシート式、堆積式、粉末式などの手法が開発されている。

その中でもアスペクトが注目した粉末焼結積層造形法は、

①薄くく広げた粉末素材をレーザーで加工する方式で、材料の自由度が高い。

②光造形法では液体中に成形品を固定しておくサポートの設置/除去が必須だったが、粉末焼結積層造形法では不要。

③複数個の同時造形が可能。造形部品を積み重ねたり、大きな造形品の内側に小パーツを配置する等も可能であり生産性が高い。

といった特長を持つ。積層造形法の中でも最もラピッド・マニュファクチュアリングに近い造形法だ。

aFaEl®は生産性世界一

アスペクトが2011年に発表した新型機RaFaElは従来の装置であるSEMpliceに比べてさらなる高精度化と高速造形化を実現した装置だ。その結果RaFaElは粉末焼結積層造形装置として世界最高の生産性、精度を誇っている。

この技術では①粉末を小さくする。②ビームを小さくする。③積層ピッチを細くする。という方法で造形品をファインにするのが基本だ。しかし、ただ微細にしただけでは粉の凝集などの問題が発生し、逆に造形品に悪影響が出てしまう。アスペクトではこれらを徹底的に研究し、どこまでならよりよい造形になるかの線引きを見極めた。その結果、ICソケットサンプルで0.285mm厚みを実現し、さらに最小薄壁では0.2mmを実現した。この薄壁は、粉末焼結積層造形法で造形された世界最小肉厚である。

積層造形法の再生、ルネッサンスの象徴として命名されたRaFaElに寄せられる期待は大きい。

 

装置から材料まで多彩な応用開発

同社は装置だけではなく、各種樹脂など素材の研究開発も積極的に進めている。強度に優れた素材、柔軟性に優れた素材、塗装しやすい素材など、素材の幅が広がれば広がるほどその利用方法は増えてゆく。

現段階では素材はまだ開発途上の感はあるが、既に強度、あるは靭性に優れた素材が着々と開発されつつある。2012年にはチタン素材の試作を公開した。

このように同社はアプリケーションも含め、ラピッド・マニュファクチュアリングを実現するプラットフォーム全般の開発に意欲的である。

ICソケット

ICソケット

チタン合金造形サンプル

チタン合金造形サンプル

「“あなただけ”の一品物を高速造形」

代表取締役 早野 誠治さま

代表取締役 早野 誠治さま

―ラピッド・マニュファクチュアリングの有効性は。

「ラピッド・マニュファクチュアリングは現在、ヨーロッパを初めとする世界中の製造業界で注目を浴びている。どの業界でもスペアパーツ、あるいは金型の保管、管理といった問題に悩まされているが、ラピッド・マニュファクチュアリングならデータさえあれば十年後でも造形が可能だ。いわばスペアパーツをデータで保存し、必要に応じて必要な個数だけ形にするということ。

量産段階では大量生産に向く従来の生産方法で、スペアパーツの確保は積層造形法でと、製造方法を使い分ければ合理的だ。また量産品ではあっても月産十台程度という場合、ラピッド・マニュファクチュアリングの有効性は言うまでもない。さらに一品物であれば注目度は上がる一方だろう」

 

―一品物の利点は。

「ラピッド・マニュファクチュアリングは新しい商材、商機も生み出している。そのキーポイントが“あなただけ”の一品物ということ。この技術なら、例えばエンドユーザーが身につけるアイテムをその人専用に作製できる。手や耳など個々のスキャンデータを基に、利用者専用の形状にできるのだ。他にもオーダーメイドの調度品、デザイナーによる芸術品など、「あなた専用」にできるラピッド・マニュファクチュアリングの利用方法には限りがないと言える」

 

―未来の展望についてお聞かせください。

「当社が見ているのは10年、100年先ではなく、目の前の未来。今既にある「ほしい」、という声に応えてゆきたい。今は平行思考の時代だ。何がほしい、こうしたい。先にそれがあるべき。それにどこまでわれわれが応えるか。そうしてゆかないと日本のモノづくりの再生はない。近未来、例えば5年後にこうなってたらいいね、をやっている。

それには一人では無理。だから皆さんの協力を求めている。こんなのが欲しいと言ってもらいたい。そのために東大で毎年1月にシンポジウムを無料で開いている。開発者もユーザーも、アイディアだけもってる人も、「こんなのがやりたい」「できるよ」とみんなでがちゃがちゃできるサロンが作りたい。たくさんの人が集まって需要を考えて欲しい。そこからベンチャーを起こすなら起こせばいい。一人専用の商品となるとほぼベンチャーしかないのだから」

 

取材:2012年9月

企業基本情報

会社名 (株)アスペクト
所在地 〒206-0802 東京都 稲城市 東長沼3104-1 稲城ガーデニア弐番館 101
設立 平成8年
資本金 3,000万円
従業員数 29名
主要取引先
WEBサイト http://www.aspect-rp.co.jp/