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切削加工業の若き社長が起こす見積もり業務の革新

日に数百枚の見積書を作成し、その作業だけで一日の大半を過ごす毎日。精密機械部品等の切削加工を手掛ける月井精密(株)社長として経験した見積もり業務の苦労から、見積もり精度・作業効率の向上を実現するWebクラウド版見積ネットワークサービス「Terminal Q」を開発した名取社長。システムを介して多くの企業が「つながる」ことで新たな価値を提案する。

株式会社NVT(H28/9/1up)

「つながる」から生まれる可能性をすべてのプロフェッショナルへ

HP画像

月井精密の名取社長が新たに起こしたNVTは、「『つながる』から生まれる可能性をすべてのプロフェッショナルへ」をコンセプトに、見積ネットワークサービス「Terminal Q」を開発した。企業の見積もり業務に着目し、製造業の見積もりのNC化とともに、多くの企業がつながるプラットフォームを提供する。

先代からの事業承継直後になぜか赤字に…

―見積もりシステム「Terminal Q」を開発した経緯を教えてください。

 

祖父である先代から月井精密の事業承継をしたのは20歳のときです。その頃から徐々に見積もり業務を引き継いだのですが、仕事量は多く、忙しくしているにもかかわらず、なぜか2年続けて赤字になってしまったんです。最初は理由がわからなかったのですが、徐々に、私の見積もり価格が先代の見積価格よりも安めになっていたことがわかってきました。「暗黙」を伝えるのも、理解するのも難しいということを実感した瞬間でした。

先代から引き継いだ設備

先代から引き継いだ設備

 

リーマンショック前までは3社から相見積を取る3社購買が一般的でしたが、最近は5社購買が多くなりました。5社購買だと単純計算で受注率が20%。100枚見積書を作ると、80枚は無駄になるということです。大半が無駄になるとわかりながらも、社長や管理職が時間をかけて何百枚もの見積もりを作っているのが現状なのです。私も毎日朝から晩まで、1日で200枚ほどの見積書を作っていました。

 

しかも、見積書に記載した金額は値下げを要求されることはあっても、値上げは非常に困難です。見積もり業務は、会社の業績に直結する非常に重要な仕事なのです。にもかかわらず、明確な計算ロジックをもたない企業がほとんど。そんな製造業の実態を改善するため、誰もが短時間で精度の高い見積書を作成できる「Terminal Q」を開発しました。従来に比べ見積もり以外の業務に割ける時間を大幅に生み出せるシステムになったと自負しています。

TerminalQの利用イメージ

TerminalQの利用イメージ

見積もりのQCDを向上させたい

―見積もり業務に着目した理由を教えてください。

 

見積もり業務は、戦略的に行わなければならない非常に重要な仕事です。ところが、約8割が無駄になるので時間をかけず、“どんぶり勘定”で見積もってしまう企業が多いんです。それは非常に危険なことです。社長仲間からも「見積もり間違いしたものばかり注文が来る」という話をよく聞きます。

また、根拠の薄い見積もりで価格を下げたり、機械の稼働率を考えて安く受注したりすると、自ら業界内の相場を崩すことになるんです。本来は、しっかりと根拠のある金額を提示して、それを受け入れてくれるお客様と付き合うべきなのです。そのためには、見積もりのQCD(「Quality(品質)」「Cost(費用)」「Delivery(納期)」)が重要で、早く・安く・正確な見積もりを出せる仕組みが必要だと考えました。

 

―異業種に進出して、難しい点はありませんでしたか。

 

切削加工業からITに進出したように思われがちですが、機械加工をするかプログラミングをするかの違いで、モノを作るうえでは全く同じプロセスです。今までの切削加工業の延長と捉えています。

株式会社NVTでは私が社長を務め、CADデータの表示技術を持っている奥島常務、IT業界出身のコンサルタントである井上専務、そして青山学院大学の長谷川助教にも参画していただいています。

TerminalQによる見積もり作業

TerminalQによる見積もり作業

複雑な見積もり業務の負荷を82%削減

―「Terminal Q」の特徴は何でしょうか。

 

見積もりに必要なすべての要素を係数として設定することで、誰にでも簡単に見積もりができるようになります。顧客、ロット数、加工、納期、材料等の情報を図面データから抽出して拾い上げるだけで、金額が自動計算されるのです。係数にはユーザーの強みを反映させることができます。例えば、少量生産に強い企業は数量が少ないものを1.0とし、数量が多いものを0.8とするなどです。係数さえ設定ができれば、実務経験の浅い人でも見積もりができるようになり、これまでの見積もり業務の負荷を82%(※)削減できるというデータも出ています。また、「Terminal Q」はクラウドサービスなので、ブラウザ上でログインすれば外出先からも利用ができます。

係数の設定例

係数の設定例

この特徴を活かして、弊社では見積もり自体のアウトソーシングサービスも提供しています。ユーザー企業の営業担当者がアップロードした図面に基づいて、沖縄のオペレーションセンターでデータの抽出・入力を行い、見積もりを作成します。それに対して、ユーザー企業が調整・微修正をすることもでき、電子承認することで見積書が完成です。

データの保存量が無制限、保存期間が無期限というのも大きな特徴です。見積もりのデータがどんどん蓄積されるので、受発注・失注の分析や営業の業績管理等に活用することもできます。

※ 実際にトライアルを実施した企業の測定数値

外注リンクシステムで協力工場と「つながる」メリット

―今後の展望をお聞かせください。

 

直近では、今秋から「外注リンクサービス」を開始する予定です。ユーザー企業同士がつながることで受発注業務を簡素化するものです。ユーザー企業は、ある条件で検索した協力会社の中から3社に対して見積もり依頼をすることができ、協力会社はそれに対して価格を回答できます。これまで紙の見積書で行ってきた煩雑なやり取りが、「Terminal Q」の中で完結できるのです。

株式会社NVT・月井精密株式会社 名取社長

株式会社NVT・月井精密株式会社 名取社長

 

―IoTの事例としても注目されていますね。

 東京都中小企業振興公社 多摩支社が主催するセミナー(平成28年7月25日実施「中小企業にとってIoT/Industry4.0は必須か~見極める力をつけるためのセミナー~」)では「Terminal Q」をIoTの一例として紹介します。都内の企業をはじめとして、将来は海外企業ともつながるシステムにしていきたいと考えています。

 

取材:平成28年6月20日

企業基本情報

会社名 株式会社NVT(H28/9/1up)
所在地 〒190-0022 東京都立川市錦町3-1-25 4F
設立 平成27年12月1日
資本金 1000万円
従業員数 3名
主要取引先 切削加工業等の各種製造業
WEBサイト http://www.nvtnet.co.jp
会社名 月井精密株式会社
所在地 〒192-0352 東京都八王子市大塚637
設立 1981年11月10日
資本金 1,000万円
WEBサイト http://www.tsinc.jp