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電気センシングから光センシングへの転換

「ヘテロコア光ファイバー」による光センシング技術を持つ`大学発ベンチャー`。独自の光センシング技術で、従来技術の課題を解決。高精度で信頼性、頑健性が高く、電気センシング並み低価格の次世代モニタリングシステムを実現した。

株式会社コアシステムジャパン(H29/4/27up)

最先端の光ファイバー技術で社会インフラの安全を守る

中央道笹子トンネル天井板落下事故をきっかけに高まる社会インフラの点検・診断。独自の光センシング技術を用いた「i-Line」は、温度変化の影響を受けることなく、長距離の配線が可能なことから、トンネルや橋のような屋外構造物の点検・診断業務への導入が期待されている。

写真1 T-Line

信頼性・頑健性の高い光センシングを実現

―御社の事業内容を教えていただけますか。

 

当社では、創価大学の研究開発の成果である「ヘテロコア光ファイバー」を用いたセンサーの開発・製造・販売を行っています。光ファイバーを用いたセンシング技術はこれまでも開発されてきましたが、信頼性・頑健性の面で課題が残っていたうえに、電気センシングに比べて価格が高く、実用化には至っていないのが実情でした。それを解決したのが当社の特許技術で、シングルモードファイバーの一部に異種のコア径の光ファイバーを融着・挿入することで、「ヘテロコア」と呼ぶセンサーポイントを形成し、光源にはLEDを、受光部にはフォトダイオードという非常にシンプルな構造を取っています。そのため、低価格かつ温度依存のない信頼性・頑健性の高いセンシングを実現しました。屋外での使用に適しているため、社会インフラの構造物点検・診断への展開を強化しています。

 

―大学の研究室のような雰囲気ですね。

 

5名の小さな会社ですが全員が研究者ですから、上司と部下というよりも研究室の仲間同士というイメージです。「日本を少しずつ良くしたい」という志のもと、研究者が集って光センシング技術を世の中に提供しています。

光センシング技術を広めるべく技術者が集う

光センシング技術を広めるべく技術者が集う

全社員の集合写真

全社員の集合写真

低価格化により光センシングの実用化へ

―「ヘテロコア光ファイバー」の特長を教えてください。

 

トンネルや橋等の社会インフラの構造物点検・診断に用いる場合、長い配線が必要です。電気センシングの場合、金属を使っているので時間が経過すれば腐食しますし、雷が落ちれば当然壊れてしまいます。また、温度の影響を受けるので、温度変化を加味した測定が必要です。

当社が持つ「ヘテロコア光ファイバー」によるセンシングでは、ガラスを使っているので腐食はありませんし、センサー部から計測部までの距離も自由に伸ばせます。電気スパークや電磁ノイズが皆無で、温度変化の影響を受けないので、環境を問わず使用可能です。従来の光ファイバーによるセンシングは非常に高価なため、なかなか実用化に至らなかったのですが、「ヘテロコア光ファイバー」によるセンシングは構造が簡易なため、電気センシングとほぼ同等のコストを実現しました。

ヘテロコアファイバとは

ヘテロコアファイバとは

 

光ファイバーを使用した次世代センシングシステム

―「i-Line」シリーズはどのような製品ですか。

 

当社の「ヘテロコア光ファイバー」によるセンシング技術を活用したセンサーが「i-Line」です。社会インフラの点検・診断業務、セキュリティ、ヘルスケアなどの用途にセンサシステムを提案しています。例えば、変位計測による構造物や地盤のモニタリング、圧力計測による不審者の侵入検知や来訪通知など、様々な用途への展開が期待されます。

 

―その中でも社会インフラの点検・診断業務向けに力を入れられていますね。

 

平成24年12月に発生した中央自動車道の笹子トンネル天井板落下事故を契機として、道路構造物の老朽化問題が注目され、平成25年6月に道路交通法の改正により点検基準が法令化されました。具体的には、全国にある橋梁約70万橋、トンネル約1万本に対して5年に1度の近接目視による点検が義務付けられたのです。これにより一気に橋梁やトンネルの点検・診断に対するニーズが高まりました。ところが、これを目視で点検できる人材が足りないのです。

そこで、社会インフラの点検・診断業務向けの「i-Line」シリーズを開発しました。遠隔監視が可能、引火の恐れがない、電磁波の影響を受けない、防水性がある、またセンサー部がパッケージ化されているため敷設・撤去が簡便なことから、構造物(道路・橋梁・トンネル・ダム等の劣化)、盛土法面(地すべり、岩盤崩壊)、地盤(地盤沈下)、地震前後のダメージ等の各種モニタリングや、工事作業現場の安全管理等を用途として想定しています。現在は様々な実証実験を行いながら、自治体や企業に提案をしているところです。

本製品は、平成27年度に「八王子市中小企業新商品開発認定制度」の認定、「東京都先進的防災技術実用化支援事業」の採択を受けています。また、平成28年8月には国土交通省の新技術情報提供システムである「NETIS(New Technology Information System)」にも光センシングの分野で登録されました。

 

―実証実験の結果はいかがでしたか。

 

古河電気工業株式会社と共同の実証実験では、とある橋の支承部2か所にセンサーを付け、その動きをモニタリングしました。電気センシングでは橋の膨張だけでなく、センサー自身も温度の影響を受けてデータが動くので、屋外での正確な測定が困難です。また、車両が通行するともちろん橋も揺れ、その揺れは最大で数十mmにもなります。揺れが大きいので、従来の光ファイバーセンサーだと張力で切れてしまうのです。しかし、「i-Line」を用いれば、車両の揺れから温度変化による橋の膨張まで、実に橋が生きているかのように計測することができました。

また、構造物が大きくなればなるほど接続距離も長くなりますが、「i-Line」の実証実験では30kmの距離も実験し、データの信頼性を確認しています。電気センシングでは銅線を使うため10m程度の接続でも温度変化による影響を受けますし、、大きな構造物に対しては低損失で長距離伝送が可能な光センシングが有利です。

インフラ保全・点検 実証実験の様子

インフラ保全・点検 実証実験の様子

光センシングで社会に変革を起こす

―今後の展望をお聞かせください。

 

今後は、セキュリティ、社会インフラ分野はもちろんのこと、スポーツ、医療、海洋開発、自動車、航空機などの分野も視野に入れていきたいと考えています。

現在は電気センシングが主流です。当社の光センシング技術の強みを理解していただき、弊社の技術を採用していただければと思います。電気センシングで難しかった計測も、光センシングなら解決できる可能性もありますし、価格的にも十分に戦える域に来ています。距離が長い、振動がある、温度変化がある、という場合にはぜひ検討していただきたいと思います。

専務取締役 渡辺 一弘氏

専務取締役 渡辺 一弘氏

 

取材:平成29年2月15日

企業基本情報

会社名 株式会社コアシステムジャパン(H29/4/27up)
所在地 〒192-8577 東京都八王子市丹木町1-236 創価大学産学連携推進センターRD103
設立 平成20年
資本金 500万円
従業員数 5名
主要取引先 大手電機メーカー(古河電気工業株式会社等の大手非鉄金属メーカー、JAXA、JAMSTEC等の国立研究開発法人)等
WEBサイト http://www.core-system.jp/