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真空中で熱と圧力を加えて金属同士を接合する「拡散接合」の専門集団

真空中において熱と圧力を加え、金属同士を接合する「拡散接合」に特化。ろう材や接着剤を用いず、母材も溶かさずに接合するため、高精度を要求される製品や微細なサイズの部品製造に適している。多様な金属、サイズ、形状に対応し、お客様のニーズに応える。

株式会社ヤマテック(H29/5/8up)

切削加工や鋳造では実現困難な複雑な形状にこそ強みを発揮する

切削加工や鋳造などの従来技術では実現できない複雑な形状も、拡散接合で実現可能。金属板を重ねて接合することで設計の幅が広がり、より生産効率の高い冶具や金型などの作製に貢献している。

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接着剤を用いずに金属同士を接合

―御社の事業内容を教えていただけますか。

 

金属同士を接着剤なしで接合する「拡散接合」を専門とする部品加工業を営んでいます。真空中において熱と圧力を加える真空ホットプレスを用いると、接合面の金属原子が拡散し、徐々に空隙が消えていき、接合面の結晶が一体化します。JIS規格では、「母材を密着させ、母材の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じない程度に加圧して、接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する方法」とされています。ろう材や接着剤を用いないため、ガスの発生やはみ出し部の洗浄などの問題がありません。また、溶接のように母材を溶かさずに接合するため、高精度を要求される製品や微細なサイズの部品製造に適しています。

拡散接合の技術を持つ企業は日本国内では7、8社で、東京で設備を持っているのは弊社だけという非常にニッチな分野ですが、自動車メーカーおよび自動車部品メーカー、電機メーカー、エッチング加工業者などから多くの引き合いをいただいています。先代社長である父の時代は製造に使用する冶具が多かったのですが、私の代になってからは最終製品に実装される部品が増えました。最近では工業製品に限らず、トイレタリー関連でのろ過フィルター、水素ステーションで使用される熱交換器、燃料電池のセパレーターなど様々な用途に広がってきました。

2つの炉で、最大で1,000×1,000mmの接合に対応

2つの炉で、最大で1,000×1,000mmの接合に対応

お客様のニーズに合わせて多様な素材・サイズに対応

―どのような素材に対応されていますか。

 

ステンレス(SUS全般)、ニッケル系(42アロイ、インバー、コバール、モネル)、銅系(無酸素銅、りん青銅、タフピッチ銅)、アルミ系(6061、6063、7075)、チタン、その他(STAVAX、ZMGなど)に対応しています。アルミや銅は軽量化の用途で用いられますし、チタンやステンレスは医療系にも展開できます。競合他社は主にステンレス同士の拡散接合を行っていますが、それ以外の金属には対応できないところが多く、特にアルミ系の拡散接合ができる企業はほとんどないため、弊社の強みとなっています。また条件にもよりますが、異種金属同士の接合についても多数実績があります。

弊社では積極的に研究開発を行っており、素材ごとに異なる適正な温度と圧力条件を割り出すために試行錯誤を繰り返し、様々な素材のノウハウを蓄積しています。

 

―対応可能なサイズ、数量について教えていただけますか。

 

IHI製の4軸真空ホットプレスを導入し、最大で1,000×1,000mmの接合が可能です。様々な形状や大きさの冶具があるので、極小・極薄サイズも対応できます。ただし、拡散接合は面と面を接合する技術なので、接合面があることが大前提となります。たとえば、パイプ同士を繋げたいというご要望をいただくことがありますが、面同士の接合ではないため弊社では対応できません。

数量は、試作用の小ロットから、年間2万~3万個の量産まで対応可能です。構造にもよりますが、1個作るだけであれば3Dプリンターが有利なものも、複数個作る場合は拡散接合の方が時間と単価を抑えることができます。

2号炉 IHI製の4軸真空ホットプレス

2号炉 IHI製の4軸真空ホットプレス

―主な加工の流れを教えてください。

 

弊社では部材の受け入れ検査から、組み立て、接合加工、最終検品、梱包、納品まで一貫して行います。お客様は部材の調達だけをしていただければよく、それ以降の工程はすべて弊社で行うため、納期の短縮、コストダウンに繋がりますし、お客様の手間も削減できます。

組み立ても内製化している

組み立ても内製化している

これまでの切削加工で不可能だった形状も実現

―拡散接合はどのような用途で使われるのでしょうか。

 

切削加工だけでは実現できない複雑な形状を実現できることが、拡散接合の面白みの一つです。現状では自動車メーカー、大手電機メーカーに採用していただいていますが、用途は様々です。超精密かつ複雑な構造の冶具製作、複雑な流路構造のヒートシンク、インクジェットノズルなど、切削加工では実現困難な複雑な構造をもつ部品加工の依頼が多く、溶接痕をつけずに、高精度な仕上がりを実現しています。

それ以外では、複数の精密な流路を備えたプレートを積層(拡散接合)して製造するハイサイクル金型などがあります。これまでの切削加工や鋳造ではできなかった複雑な流路も設計できるため、成形面に均等に流路を作ることができ、冷却時間を大幅に短縮することができます。

複雑な流路設計も可能になる

複雑な流路設計も可能になる

将来を担う人材への投資は惜しみなく

―今後の展望をお聞かせください。

 

事業承継については、いずれ社員による第三者承継を考えています。これまでにも東京都中小企業振興公社(以下、公社)のセミナーや研修を大いに活用させていただいていますが、これからも社員には積極的に参加させ、成熟した社員、成熟した組織を目指していきたいと思っています。これからのヤマテックを背負っていくのは、間違いなく今働いている社員たちですから、会社をうまく使って社員全員が社会人として成長してほしいと思っています。平成20(2008)年には、社員教育の意味もあってISO9001を取得しました。毎週の品質保証会議や更新審査を通して、社員一同の品質に対する意識も高め、徹底した品質管理体制の構築ができました。今後も人には惜しまずに投資をしていきたいと考えています。

代表取締役 山口和範氏

代表取締役 山口和範氏

技術面では、セラミックと金属の拡散接合を実現したいと考えています。大阪大学の研究では薄物のセラミックと金属の接合に成功していますが、厚みのあるもので実現できなければ工業的な実用価値に欠けてしまいます。厚みのあるものは面の平坦性を保つのが難しいため、接合が難しいとされているのです。

私どもはこれまで創業以来25年にわたり、拡散接合に特化して事業を行ってきました。まだまだ拡散接合は知られていない技術なので、今後も公社のニューマーケット開拓支援や新技術創出交流会などを活用して、弊社の技術を必要とする多くの方に知っていただきたいと思います。実際、すでに大手企業との取引き成果も出ているので、今後も拡散接合を専門に研究開発を行い、お客様のお役に立てるようさらに技術力を高めていきたいと思っています。

 

取材:平成29年3月2日

企業基本情報

会社名 株式会社ヤマテック(H29/5/8up)
所在地 〒190-1232 東京都西多摩郡瑞穂町長岡3-3-5
設立 平成2年2月
資本金 1000万円
従業員数 25名
主要取引先 自動車メーカー、大手電機メーカー等
WEBサイト http://www.yama-tech.com