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独自の加工技術が日本の科学技術を支える

電子顕微鏡の電子を放出する「フィラメント(電子銃)」と、放出された電子を絞る「アパーチャープレート」という電子顕微鏡の心臓部品の供給で世界シェア70パーセント・国内シェア100パーセントを誇る。

(株)大和テクノシステムズ

オスミウムプラズマイオンコート

電子顕微鏡の主要部品供給で国際的・圧倒的シェアを持つ。その実績を支えるのは超微細加工やオスミウムコートといった独自の加工技術だ。「アパーチャープレート」の絞り穴では世界最小となる直径2マイクロメートルを実現した。機械的な加工技術に加えて化学反応の研究も進め、オスミウムプラズマイオンコートというオンリーワンの技術を開発した。大和テクノシステムズの高精度部品は電子顕微鏡の電子ビーム精度を飛躍的に高め、日本の科学技術を支えている。

大和テクノシステムズ社屋

大和テクノシステムズ社屋

アパチャープレートと超微細加工技術

大和テクノシステムズは理化学用分析機器の主要部品の多くを供給している。その中でも電子顕微鏡の心臓部である「フィラメント」と「アパーチャープレート」の供給で、全世界で70パーセント、日本国内で100パーセントの圧倒的シェアを持つ。電子顕微鏡に求められる性能は限りなく高く、この二つの部品が電子顕微鏡の性能を決める。「フィラメント」は電子を放出する部品で、電子が飛び出る先端の鋭さが部品の命だ。「アパーチャープレート」は放出された電子を絞り込む部品で、電子を通す穴の小ささと高精度が重要。この二つの部品を支えているのが超微細加工技術だ。「フィラメント」の先端は独自の加工技術で仕上げ、「アパーチャープレート」には髪の毛の50分の1の太さの2マイクロメートルの絞り穴を開けることが出来る。

 

実は単純に穴を開けられる会社は他にもある。大和テクノシステムズの「アパーチャープレート」は微細穴のきれいさが群を抜いている。単純に穴を開けると微細穴の周りにバリという金属片が残る。これが電子ビームの流れを狂わし、電子顕微鏡の精度を大きく損なう。大和テクノシステムズはバリを極力発生させずに微細穴を開け、わずかなバリもきれいに取り除く独自技術を持っている。通常の工作機械でバリを取り除くには機械的な研磨加工が一般的だが、2マイクロメートルの微細穴に触れると簡単に潰れてしまう。化学研磨で研磨しても、バリだけでなくプレート全体が研磨されてしまう為に精度を保つのが難しい。そこで同社は直径が2マイクロメートルの極小穴に対してクリーニング技術を確立することに成功し、その微細加工技術が高性能の電子顕微鏡、ひいては日本の科学技術を支えている。

絞り穴加工の状態

絞り穴加工の状態

高精度部品を製造するために培ってきた独自の技術

シェア100%を支えるオスミウムコート

さらにオスミウムプラズマイオンコートという独自技術によって、「アパーチャープレート」にオスミウムの帯電防止薄膜を成膜する。オスミウムはプレートよりも電気抵抗が低くチャージアップ(帯電)を防止する。「アパーチャープレート」は電子ビームに曝されるため電荷を帯びやすく、帯電防止薄膜にムラがあったり、微細穴にバリが残っているとチャージアップを起こす。「アパーチャープレート」がチャージアップして電荷が溜まると、電子ビームの流れが狂い電子顕微鏡の解像度も悪くなる。

 

一度、チャージアップすると修復するのは難しく、同じ微細穴は使えなくなってしまう。この現象を防ぐために通常使われていたのがPVD(物理気相成長)法による白金薄膜のコーティングだ。PVD法は白金粒子をプレートに向けて飛ばして成膜する方法で、直進性が強い為、微細穴の内部まで均一な膜を作るのが難しかった。白金薄膜にムラができると電子ビームが狂う。大和テクノシステムズが開発したオスミウムプラズマイオンコートはCVD(化学気相成長)法を採用した。CVD法ではオスミウムが微細穴内部に入り込んで均一な成膜が出来る。オスミウムプラズマイオンコートにより電子顕微鏡の性能が飛躍的に上がり、電子顕微鏡メーカーは他の「アパーチャープレート」を選べなくなってしまった。これが国内シェア100パーセントの理由だ。

今後の経営戦略と人材育成について

代表取締役社長 渡邊正範さま

代表取締役社長 渡邊正範さま

超微細加工技術やオスミウムコート技術の応用範囲は電子顕微鏡以外にも広がります。

 「超微細加工技術もオスミウムコート技術も、電子顕微鏡などの理化学用分析機器の超精密部品を製造するために培ってきた。これからは細密化が加速するマイクロマシンや半導体の製造にも応用できると考えている。応用のためには新規開発提案の能力が必要で、営業担当者と技術者を一体化させて取り組んでいる。この技術開発力と対応力を支えるために、社員には誠実さや熱意と自己鍛錬。そして中小企業でなければ持ち得ない機敏性と全社的なチームワークを磨いている。」

 

中小企業ですが受け身でなく攻めの経営を掲げています。

 「製造業の中小企業のスタート地点は大手メーカーへの部品供給である場合が多い。弊社もそのような立ち位置から創業した。もちろん今でも大手メーカーへの部品供給は続けている。ただし、受け身で受注してきたわけではなく、粘り強い研究開発に基づいた技術営業提案を大手メーカーに対して積極的に行ってきた。そうした姿勢や提案採用実績は必ず評価してもらえ、業界内外・国内外へ着実に伝播していく。様々な企業からの技術相談も自然と増え、その相談を受けて新規技術を開発して、結果として対応の幅が広がっていくという好循環ができた。製造業の中小企業というと『下請け』という言葉に象徴されるような呪縛により受け身の対応しかしない場合もあるが、大企業と違い、中小企業は決裁のスピードが速く機敏に動くことができる。この機敏性を活かして、先手先手と積極的に提案し、取引先をリードしていける立場こそ中小企業ならではのスタンスだ。長期不況の今こそ、この姿勢を大切にしていきたい。」

 

人材育成に力を入れています。

 「大和テクノシステムズの経営理念は『より少ない人数でより多くのものをカバーしあい共有のノウハウを持って社会に貢献する』を揚げている。社長の私を含め経営陣が明確な育成目標を設定して、適切な人を確保し着実に育成している。また、中小企業しか持ち得ないチームワークと家族的な暖かみの社風を大前提として、年齢・性別・学歴にとらわれずに厳しく指導している。新入社員がエンジニアとしての技術、スキルを迅速に習得する体制は確立できた。さらに立派な社会人になるための人間教育も徹底して、一人ひとりの能力育成と同時にチームワークも醸成している。」

 

取材:2011年3月

企業基本情報

会社名 (株)大和テクノシステムズ
所在地 〒194-0041 東京都 町田市 玉川学園4-24-24
設立 昭和42年
資本金 5,010万円
従業員数 40名
主要取引先 大手メーカー(工場)、大手メーカー(研究所)、大学・公的研究機関
WEBサイト http://www.daiwatechno.co.jp