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顧客の課題解決から技術革新へ

硬質炭化クロムメッキ「ダイクロン」など独自のメッキ技術で大手メーカーと直接取引する千代田第一工業。顧客を1業種1社に絞る営業戦略によって顧客に密着。顧客からの信頼は技術課題に接するチャンスを増やし、技術開発型の経営を続ける原動力になっている。

千代田第一工業(株)

硬質炭化クロムメッキ「ダイクロン」と「ブラストン」

二枚看板技術となる硬質炭化クロムメッキ「ダイクロン」と、滑り性を引き上げた「ブラストロン」。両技術は技術志向が強い千代田第一工業が製缶メーカーのニーズをもとに開発。飲料容器として欠かせない缶とペットボトルの製造ラインに用いられ、いまでは製缶・ペットボトルメーカーから絶大な信頼が寄せられる。

千代田第一工業社屋

千代田第一工業社屋

匠の限りない探究心

二本柱のダイクロンとブラストン

1970年に開発し、以後40年にわたって他社の追随を許さず安定した受注を続けるダイクロン。技術を守るために製造技術をブラックボックス化し、いまでも配合液の成分や割合を極秘にする。

ダイクロンの最大の特徴は、耐摩耗性に直結する硬度にある。一般的な硬質クロムメッキがビッカース硬さ(Hv)で700-800の値なのに対し、ダイクロンは同1000前後と最大3割上回る性能差を持つ。また対金属の摩擦係数は一般的な硬質クロムメッキに比べ5分の1から6分の1の0.2ミューと低い。

このため製缶ラインの設備に加工処理した場合、硬度の効果により設備の耐久性が向上。また摩擦係数は製缶ラインを流れる缶のスピードを左右する。同係数が低ければ缶を速く流せるようになり、その分、生産性が高められる。

 

ペットボトルが飲料容器として登場するのに相前後して、97年に技術を完成させたのがブラストロンだ。Hvはダイクロンと同等の1000前後。一方、摩擦係数はダイクロンが対樹脂で0.4ミューであるのに対し、ブラストロンは0.2ミュー。ペットボトルを高速で流すにはダイクロンを上回る低摩擦性能が求められ、泡状の凹凸を表面につける処理法を開発。凹凸が生産設備とペットボトルの接触面積を少なくする効果をもたらし、低摩擦を実現した。

バフ研磨加工

バフ研磨加工

オンリーワン技術の提供

大手メーカーと共同開発

直接取引する顧客を1業種1社に限定する千代田第一工業は、繊維業界でも成果を上げている。繊維産業は市場が成熟化しグローバル競争のなかで、さらに新しい機能を盛り込んだ革新的な材料が求められている。発熱・保温・吸湿・抗菌など新機能を併せもったウェアが求められ、そのため複雑な構造をもつ繊維を製造するため、特殊な工程や精度が必要とされている。機能性繊維の製糸ラインには従来以上の耐久性が求められ、設備の部材は高硬度でなければ摩耗が進行するなど技術課題になっていた。

 

 

そこで千代田第一工業は、お客様との信頼関係の中で貴重なフィードバックデータを頂きながら、トライ&エラーを繰り返し、原因を追求していく中で、硬質のダイクロンをベースに表面精度に優れ滑りのよい硬質炭化クロムメッキ「ダイクロンTC」を共同で開発。機能性繊維の製糸ラインで求められる高硬度と低摩擦係数を実現した。信頼のきずなは特許を共願するまでの関係に深化し、取引戦略の効果と技術志向を象徴する事例の一つになった。

品質管理

品質管理

技術革新と経営戦略

代表取締役社長 鈴木信夫さま

代表取締役社長 鈴木信夫さま

代表取締役会長 鈴木達雄さま

代表取締役会長 鈴木達雄さま

-メッキ事業の将来性をどうみていますか。

「人は『もっと、もっと』という欲望を持っている。この欲望に対しメッキは、もっと強く、あるいはスムーズに、美しく、といったことをかなえられる。人に欲望がある限り、メッキには無限の可能性があり、技術革新も続く」

-技術革新は顧客のニーズが出発点になることが少なくありません。

「当社は義を重んじる企業文化を持つ会社であり、直接取引する顧客を1業種1社に限定している。このため顧客は当社を信用し、困り事を相談してくれる。新製品の開発段階から声がかかることも多く、顧客のニーズにいち早く接せられる」

-研究開発の体制は。

「従業員30人の会社であり、開発部門はない。だからといって技術への挑戦ができない、というのは間違いだ。当社は技術志向の強い会社であり、顧客に密着する営業が常にニーズを聞き取り、現場にはその課題がもたらされる。現場は解決への仮説を立ててトライし、技術を蓄積していっている」

-不足する技術がある場合、補う方法は。

「公的機関となる東京都立産業技術研究センターや東京都中小企業振興公社を活用している。とくに都産技センターとは共同研究の成果を連名で特許出願するなど有力なパートナーだ。大学や金融機関ともパイプを築き、東京都市大学や電気通信大学の研究者と連携し、地元信用金庫からも紹介を受けるなど、幅広いネットワークで支援を得ている」

 

-経営方針についてお聞きします。

当社では、社員による「実行委員会」方式で経営改善を行っています。全社員で問題を解決するため、6S、QC、安全等の委員会を立ち上げ、この問題解決の活動を通じ全社員が情報を共有でき、会社の活性化が生まれています。

 

-最近著書を発行したようですが。

日刊工業新聞社発行の月刊誌「工場管理」で連載していたものをまとめて「ジャンケン経営の実践」という本を出しました。「ジャンケン経営」とは、経営哲学をジャンケンに例えて“信頼をつかんで(グー)”、“欲望を絶ち幸せを味わう(チョキ)”、“自らの利益を社会に還元する(パー)”、これがジャンケン経営の実践です。当社では(パー)の部分で地域社会への貢献として①会社敷地内にミニ公園を設置し、地域住民の休息の場として提供。②地域センターにAED(自動体外式除細動器)を寄贈するとともに、地域の人も利用できるように社内にAEDを設置。③敷地内の自動販売機の収益金を全額「狛江市緑化基金」に寄付等の活動を行っています。このように会社の利益を地域貢献として行うことにより、地域との共生を大切にしています。

 

取材:2011年3月

改訂:2016年4月

企業基本情報

会社名 千代田第一工業(株)
所在地 〒201-0004 東京都 狛江市 岩戸北3丁目11番9号
設立 昭和27年
資本金 1,500万円
従業員数 29名
主要取引先 大手メーカー(工場)
WEBサイト http://www.daikuron.com/