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世界の航空宇宙を熱処理技術で支える

金属の強度に大きく影響する熱処理は、時に人命をも左右する。 中でも、一度飛んでしまうと簡単に停まることができない航空機、ロケットはその安全性の保証のために、非常に厳しいハードルを乗り越えた製造業者のみが携わることのできる分野だ。多摩冶金は、その高いハードルを越えて、今後大きく成長が期待される航空機産業に本格参入した。

多摩冶金(株)

航空機産業に参入

多摩冶金は創立当初、車両用量産部品を主に扱っていたが、後に現在の多品種小ロット生産形態に移行した。これまでに熱処理に関しては実に豊富な経験を持っている。社長が飛行機乗りだったことが発端で航空機関連の事業も開始。特に2012年にNadcap*を取得し、本格的に航空宇宙産業に参入を果たすこととなった。また、同じ航空宇宙産業において数々の実績を構築する技術集団“アマテラス”設立メンバーでもある。

軟窒化炉

軟窒化炉

Nadcapによる特殊工程認証取得

Nadcap (National Aerospace and Defense Contractors Accreditation Program)とは、航空宇宙・防衛関連産業の特殊工程に関する唯一の国際認証プログラムである。ボーイング、エアバス等の民間航空機の部品製造に関する特殊工程の実施は、このNadcap認証が必須条件となりつつある。多摩冶金では、今後高まる航空業界の要に応えていくため、熱処理において、2012年1月5日にNadcapを取得した。

 

万一故障が発生した時、一度エンジンをとめてその場でパーツ交換するわけには行かないのが航空機やロケットである。つまり一つひとつのパーツの信頼性が、全体の安全性に係る比率が非常に高いのだ。よって航空宇宙産業において、品質に関する要求のハードルは極めて高い。

その業界での国際認証であるNadcapを取得したということは、取得業者の設備と技術、そして管理能力が極めて高いという意味になる。それらの裏づけなくして取得できる認証プログラムではないのだから。

Nadcap取得工程

多摩冶金ではNadcapの「機械的特性」、「金相試験」、「硬さ試験」、「熱処理」という各ジャンルの工程について認証を取得しているが、得意とする熱処理では下記工程の認証を取得している。

アルミニウム合金部品の熱処理

ニッケル・コバルト系合金部品の熱処理

鉄鋼部品の熱処理

PH鋼の熱処理

マルテンサイト系ステンレス鋼の熱処理

ガス窒化(アンモニア分解率制御)

ガス窒化(窒化ポテンシャル制御)

真空炉での熱処理

 

Nadcap認証を取得した熱処理工程数は、日本の熱処理専門会社の中では最も多く、幅広く顧客の要望に応えられるという。これまで英国など、海外の熱処理会社に発注していた業者にとって、日本国内で対応可能になったということは大きな意味を持つであろう。

 

アマテラスに設立メンバーとして参加

“アマテラス AMATERAS”は、先進の技術を持つ東京地区の航空宇宙部品製造企業連合

Advanced Manufacturing Association of Tokyo Enterprises for Resolution of Aviation System

の団体名称である。航空宇宙産業が求める特殊な加工技術を持つ企業達が創り上げた技術集合体だ。多摩冶金はこの“アマテラス”に設立メンバーとして参加しており、航空機部品の一貫生産体制のうち熱処理を担当している。

アルミ溶体化炉

アルミ溶体化炉

軟窒化炉

軟窒化炉

代表取締役社長 山田 仁さま

代表取締役社長 山田 仁さま

代表取締役社長 山田 仁さま

-これまでの御社の経緯は。

「創立は1951年。当時、日本産業が大きくなっていった要因、主産業が車関係だった。当然当社もその量産部品が主だった。73年から80年代にかけ、多摩の地域特長がはっきりとしてきた頃だ。自動車・建機部品の量産形態から多業種にわたる多品種小ロット生産形態に移行することが特長になった。うちも顧客の形態に合わせて業務形態を変えていくこととなった。特に75年12月に真空熱処理炉を導入したことが大きい。この時代には真空熱処理は大変珍しく、大企業のごく一部しかやっていない、いわば当時の先端技術だ。当社先代の方針が先端技術の導入なので、業界の中でも初期に導入した。これが端緒となり、以後は高付加価値、精密部品生産形態へ移行した。その後も新型の真空炉を順次増設し、先端熱処理技術の方向が固まったといえる。」

-航空機関連が現在の方向性とか。

「私はもともと海上自衛隊にいた。海自で飛行機に乗っていた関係で、1987年に当社に入社した時、どうせなら飛行機ものをやりたいと考えた。それがもともとあった先端技術導入という当社の方針とうまくかみ合ったのだと思う。まずは1988年、今思えば簡単な部分だったが、航空機パーツの熱処理をやらせてもらった。そこから飛行機に力をいれていくことになる。当時はまだISO9001も一般化していなかったので、各社それぞれに認証があったため、それらを次々と取っていった。そして1999年にISO9001、2009年にJIS Q 9100を取得。2012年にはNadcap認証も取得した。これで規格、システム的体制、そして設備も整って、どこからでも受注OKと言い切れる状態になったのが現在だ。」

-今後の展望は。

「2003年に中国の大連に子会社を作った。中国で熱処理受託加工できるので、量産品の話はそちらでやっている。大連に量産の話はまかせ、日本では高難度小ロットとなるので、当社としては航空機ものへのシフトが進んでいる。おそらくさらに弾みがつくと考えている。当社は技術集合体“アマテラス”の設立メンバーとして参加しているが、技術はもちろん、問合せ含め航空機関連はどうしてもワールドワイドになる。幸い、当社の取締役に英語が堪能な者がいるので、直接海外の会社と営業活動出来るのが強みになっている。

空洞化が進む中、空洞化や景気の波に影響を受けにくい仕事をしたいというのが正直な話だ。航空・宇宙・防衛の方向性で未来に挑みたい。」

 

取材:2012年9月

企業基本情報

会社名 多摩冶金(株)
所在地 〒208-0023 東京都 武蔵村山市 伊奈平2-77-1
設立 昭和26年
資本金 1,250万円
従業員数 39名
主要取引先 大手メーカー(工場)、中堅メーカー、中小・零細メーカー
WEBサイト http://www.tamayakin.co.jp/