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ヘラ絞り加工を中心に金属加工のデパートとして世界へ

ヘラ絞り加工業のパイオニアとして、半導体・航空宇宙・医療機器等の最先端分野に進出。ヘラ絞りから領域を広げ、あらゆる金属加工に対応する。お客様の潜在的なニーズに応える技術提案型の営業に注力し、それを実現するため複合加工品の設計から製造まで受託する一貫生産体制を敷いている。

株式会社ナガセ(H29/11/8up)

100年企業を目指して

技術と営業は両輪という考えのもと、卓越したヘラ絞りの技術力を基礎に、売り込むための「営業」に力を入れる。幅広い加工に対応するため数百社にも及ぶ同業種・異業種のパートナーとの協力体制を築き、「伝票一枚でなんでも揃うナガセ」を実現。会社の継続性を強く打ち出すため2020年社長交代を公言し、計画的に事業承継を進めている。

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ヘラ絞りから総合金属加工へ

―御社の事業内容を教えていただけますか。

 

ヘラ絞りと呼ばれる金属の絞り加工を中心に、溶接、板金、レーザ加工、バフ、組立というあらゆる金属加工に対応し、それらを組み合わせた複合加工品の設計・開発・製造まで行う一貫生産体制を取っています。

当社は、父が終戦後に創業した有限会社長瀬絞工場が前身です。順調に事業を営んでいましたが、昭和49年のオイルショックの煽りを受け、会社は一気に業績が悪化してしまいました。そんなときに父も倒れてしまい、私が入社したわけです。それから6年間、会社の業績は最悪で、真っ暗闇の中にいました。

何か新しいことを始めなければ生き残れないと思い、会社を現在地に移転し、技術提案型の営業に力を入れ始めました。機械加工で作っていたものをヘラ絞りに変えると、切削等に比べて少ない材料で製造でき、材料費を大幅に減らせるのです。そうすれば、お客様は大幅なコストダウンができます。こういった提案営業で次々と大手企業から受注を取ることができました。すると、次第にお客様から様々な金属加工に対応することが求められるようになり、現在ではヘラ絞りを強みとしながらも周辺技術を取り入れながら、金属加工に総合的に対応する体制を敷いています。

体全体を使った大きな部品のへら絞り加工

体全体を使った大きな部品のへら絞り加工

 

 

―御社の強みを教えてください。

 

ナガセの強みは、技術力、営業力、パートナー力の三位一体です。いくらヘラ絞りの技術があっても、それをプレゼンする人がいなければ仕事にはなりません。技術だけで仕事が来た時代もありましたが、今はそんな時代ではありません。技術と営業は両輪で動くのです。ですから、営業活動に力を入れていて、営業は私以下10名体制で動いています。同業他社でこれだけの営業部隊を持っている会社はないでしょう。「伝票一枚ですべてが揃うナガセ」という方針のもと、お客様のあらゆるニーズに対応し、幅広く受注を獲得しています。

さらに、日本国内の同業他社とは仕事を取り合うのではなくパートナーシップを結び、お互いのテリトリーを侵さずに共存共栄の関係を築いています。これらのパートナー企業は、今では数百社に上ります。ナガセで対応が難しい仕事も、パートナー企業のネットワークを活用すれば対応できるのです。

職人の経験と勘が支える「ヘラ絞り」の技術

―ヘラ絞りとはどういった技術ですか。

 

高速で回転する金属板にヘラを押し当てて、型に合わせて成形する技術です。精密機械に入る厚さ0.15mmの小さな部品では指先のわずかな力で加工し、新幹線やロケットの先端のような大きな部品ではてこの力を利用して加工をします。職人の身長や体重によっても力のかけ方が違いますし、気温や加工中の摩擦熱によって金型が膨張して、仕上がりがわずかに変わってきます。それを職人が感じ取り微調整を加えることで、高精度・高品質が保たれているのです。ヘラ絞りは、職人の経験と勘がものをいうアナログな技術なのです。

新幹線やロケットの先端になぜヘラ絞りが必要かというと、他の機械加工に比べて少ない材料で作れるということに加えて、表面硬化により強度が出るからです。プレスで作ったヘルメットは鉄砲玉が貫通しますが、ヘラ絞りで作ったヘルメットは跳ね返します。

また、加工を自動化すると立ち上がりに時間がかかり、少量生産には向きません。その一方、ヘラ絞りであれば段取替えの時間が短いので素早く生産でき、1個でも対応できるのも強みです。プレス加工では困難な複雑な形状や機械加工では困難な薄肉形状の製品、特殊材の加工も1個から可能です。

手のひらサイズの小さな部品のへら絞り加工

手のひらサイズの小さな部品のへら絞り加工

 

100年企業を目指して

―今年で創業72年。100年企業を目指しているそうですね。

 

1945年10月1日に父が創業して、今年で創業72周年。100年企業を目指して企業を継続させるためには、3つの要素が必要だと考えています。1つ目は、経営理念がしっかりしていて、社長が交代しても変わらないこと。弊社の経営理念は、「和~人脈づくり、人づくり、そして評判づくり」です。2つ目は、時代に合わせて企業変革していくこと。3つ目は、ブランド力です。

まず、人づくりを重視しています。ベテランの職人からヘラ絞りの技術を伝承するには長い年月がかかりますから、そのためには若い職人が働きやすい職場づくりをして、長く働いてもらわなければいけません。彼らがより働きやすい環境を求めて、2017年8月には新工場に移転しました。1~3階は工場、4階は事務室・会議室・食堂があり、全社員が一同に会せる広さの食堂にはこだわっています。

職人の育成に力を入れる

職人の育成に力を入れる

 

また、2020年10月1日には、息子である専務に社長交代することを公言し、計画的な事業承継も進めています。バトンタッチ後もスムーズに事業が継続できるよう10年は息子に伴走し、困ったこと、決断できないことがあったときにアドバイスできるようサポートしていくつもりです。計画的な事業承継や新工場の建設は、100年企業を目指すうえで大きな意味があります。お客様に対する事業拡大への期待感や会社の継続性のアピールになり、長期的な取引ができる会社としての信頼獲得に繋がると考えているからです。

代表取締役社長 長瀬透氏と専務取締役 長瀬雄一郎氏

代表取締役社長 長瀬透氏と専務取締役 長瀬雄一郎氏

 

新しい出会いが新展開へのカギ!日本のヘラ絞りを海外へ

―今後の展望を教えてください。

 

守りに入ったら衰退すると思っています。即断即決でスピード感を持って新しいものにチャレンジしないと、他社と差別化ができません。日本のマーケットは縮小傾向にありますから、今後の活路を見出すためにも海外展開は必須です。日本のヘラ絞りを売り込むために、シンガポールやアゼルバイジャンの展示会に出展する計画です。

東京都中小企業振興公社の新技術創出交流会には長年参加させていただいており、大手企業へアプローチするきっかけになっています。助成金を活用し、積極的な設備投資を行って新技術を取り入れながら、進化して行きたいと思っています。

へら絞りを用いて作ったぐい飲み

へら絞りを用いて作ったぐい飲み

 

 

取材:平成29年9月7日

企業基本情報

会社名 株式会社ナガセ(H29/11/8up)
所在地 〒208-0023 東京都武蔵村山市伊奈平3-21-3
設立 昭和20年
資本金 1200万円
従業員数 60名
主要取引先 ㈱東京エレクトロン、日本電子㈱、㈱松井製作所、東芝ライテック㈱、㈱東芝等 約450社
WEBサイト http://www.nagase-shibori.co.jp